「復職初日が怖い…」|初日を小さく乗り切るために、前日までに決めておきたい3つのこと

「復職初日のことを考えると、怖くて眠れない…」復職の日が近づいて、そんなふうに感じている方も多いのではないでしょうか?
朝ちゃんと起きられるか、職場の人にどんな顔で会えばいいのか、仕事についていけるのか…考えれば考えるほど、初日の朝の光景ばかりが頭の中で大きくなっていきますよね。前の晩から胸がざわざわして、落ち着かなくなる方も多いと思います。
今日は作業療法士の視点から、復職初日が怖くなる理由と、その怖さを小さくしていくための初日の過ごし方を一緒に見ていけたらと思います。
復職初日が怖いのは、責任を真摯に感じているから
私自身も作業療法士として休職中の方と関わる中で「初日で失敗したら、もう終わりな気がする」という声をよく聞きます。
まずそれは自分の責任と向き合おうとしているから。
だからこそ初日の朝を、これからの働き方全てが決まる試験のように感じてしまうんですね。
でも復職初日は「合格する日」ではなく、戻り始める最初の一日です。
初日に「元どおりに働けること、周りに迷惑をかけないこと」「自分はもう大丈夫だと示すこと」まで背負わせてしまうと、怖さが大きくなるのは自然なことかもしれません。
復職初日が怖くなる3つの原因
1. 何が起きるか分からない「見通しのなさ」
休んでいる間に席の配置や担当、チームのメンバーが変わっていることもあります。
何時に着いて、誰に声をかけて、何から始めるのか…それが分からないまま当日を迎えると、頭の中で不安の場面ばかりを想像してしまいます。
怖さの正体は、初日そのものより「見通しのない場面」なのかもしれません。
2. 周りの反応が読めない
その不安は「周りはどう思われているんだろう、何て説明すればいいんだろう」と、同僚の反応を気にする方も多いと思います。
ただ休職の理由をどこまで話すかは、自分で決めてよいことです。体調のことを詳しく説明しなくても、仕事は少しずつ始めていけます。
実際には、周りの人も「どう声をかければいいか」と迷っていることが多いものです。なので復職後はお互いの歩み寄りが大事になります。
3. 休職前の自分と比べてしまう
復職後は「前はもっと速くできたのに、1日フルで働けていたのに」と、休職前の自分を基準にしてしまうのも、怖さが強くなる理由の一つです。
休職前の自分と比べるほど、今の自分が足りないように見えてしまいますよね。
ただ休んでいた頃は、朝起きることや外に出ることにも労力が必要だったはず。そこから職場に戻る日を迎えようとしていること自体が、すでに大きな変化なのだと思います。
比べる相手は休職前の自分ではなく、休んでいた頃の自分で十分です。
初日を「小さく設計する」という考え方
ポイントはいきなり元の生活や仕事に戻すのではなく、活動の量や難しさを少しずつ上げていく「段階づけ」という考え方です。
復職初日も、この考え方で小さく組み立てていくことができます。
厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、正式な復帰の前に行う方法として、次のようなものが紹介されています。
模擬出勤:勤務時間と同じ時間帯に、デイケアなどで軽作業をしたり図書館で過ごしたりすること
通勤訓練:自宅から職場の近くまでいつもの経路で移動し、一定時間過ごしてから帰ること
試し出勤:本来の職場などに、試験的に一定期間続けて出勤すること
手引きでは、こうした方法が就業に関する不安の緩和につながり、実際の職場で自分と職場の状況を確かめながら準備できるとされています。
会社によって制度があるかどうかは違うので、使えるものがあるかを人事や産業医に聞いてみるのも一つです。
また2025年、Journal of Occupational Rehabilitationという職業リハビリテーションの専門誌に掲載されたスウェーデンの研究では、ストレスによる不調で休職した20人へのインタビューから、働く時間やペース、取り組む仕事を自分で決められる裁量権が復職の助けになっていたと報告されています。
初日の形を少しでも自分で選べることは、休職中の方にとっても大事な支えになる可能性があります。
初日の怖さは、自分で決められる部分が増えるほど小さくなっていくのだと思います。
初日の勤務時間や業務の量も、この調整の一つとして相談してよいことです。
復職前に会社と話しておきたい調整については復職で必要な「減らす調整」と「増やす調整」の記事でも詳しくまとめています。
復職初日までに今日からできる3つのこと
1. 通勤経路を一度たどってみる
手引きにある通勤訓練のように、出勤する時間帯に家を出て、職場の近くまで行って帰ってくるだけでも、初日の「分からなさ」は一つ減ります。
駅のホームの混み具合や乗り換えの感覚を、体で思い出しておきましょう。
職場の前まで行くのがしんどければ、最寄り駅まで、あるいは途中の駅までで構いません。
2. 初日の「やること」を3つだけ書いて上司と共有しておく
例えば
「9時に出社して上司に挨拶をする」
「午前中はメールと資料の確認」
「午後は引き継ぎの説明を聞く」
そのくらいの粒度で、初日にやることを3つだけ書き出しておきましょう。それを復職面談や事前の連絡で上司に伝えておくと、当日の見通しがぐっと立ちやすくなります。
また同僚に調子を聞かれたときの一言も、先に決めておくのがおすすめです。「体調を崩していましたが、少しずつ戻っていきます…」くらいの簡単な返答で十分だと思います。
3. 初日の帰り道と夜の予定を、先に決めておく
初日は緊張で交感神経優位となり刺激に敏感になるため、思っている以上にエネルギーを使います。
何事もなく終わったとしても、家に帰ってからどっと疲れが出る方も多いですよね。
この活動のあとの疲れについては「楽し疲れ」で動けなくなる理由と回復のコツの記事でも触れています。
なので
帰りに好きな飲み物を買う
お気に入りのカフェに外食に行く
夜は湯船につかって早めに寝る
といったように初日のあとの過ごし方まで先に決めておくのはいかがでしょうか。
初日の予定には仕事だけではなく、心の回復の時間まで予定を入れておくことが大事です。
まとめ|復職初日は「できた」を一つ持ち帰れれば十分なこと
ここまでの内容を、もう一度並べてみます。
復職初日が怖いのは、初日に「元どおりに働くこと」まで背負わせてしまうから
怖さの原因は、見通しのなさ、周りの反応の読めなさ、休職前の自分との比較
通勤経路をたどる、初日のやることを3つ決める、初日のあとの回復まで予定に入れることで、初日は小さく設計できること
一方で、どのくらいの準備で怖さが和らぐかは人それぞれで、準備をしても当日の緊張がゼロになるわけではありません。
それでも「初日は、できたことを一つ持ち帰れれば十分」であり、怖いと感じながら準備を進めている今の時間そのものが、もう復職の一部になっているのだと思っています。
復職が怖いと感じる理由をもう少し広く知りたい方は段階的な回復でたどる復帰への5つのステップもあわせて読んでみてください。
よければ参考にしてみてくださいね。
参考文献
厚生労働省. (2012). 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(改訂版). https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/120830-1.pdf
Beno, A., Jonsdottir, I. H., & Lindegård, A. (2025). Facilitating Return to Work through a Broader Perspective on Vocational Rehabilitation: Insights from Patients with Stress-Related Disorders. Journal of Occupational Rehabilitation, 36(3), 783-792. https://doi.org/10.1007/s10926-025-10311-5
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