休職しない方がいい…?迷ったときの判断の目安について解説

「医師には休職を勧められたけど、休職はしない方がいいのでは…?」そんなふうに迷って、答えが出せないまま出勤を続けている方も多いのではないでしょうか?
ご飯は食べられるし、職場ではいつもどおり笑って話せている…それなのに悲観的な考えが頭から離れず、夜中に目が覚めたりする。
こんなことで休むのは甘えなのではないか、と責めてしまう方もいらっしゃるかと思います。
今日は作業療法士の視点も踏まえて、休職をためらってしまう理由と、迷ったときに考えておきたい判断の目安を一緒に見ていけたらと思います。
「休職しない方がいい」と迷うのは、責任感が強いから
休職中の方からは「あのとき休むかどうか、ずっと迷っていました」という声をよく聞きます。
その迷った理由は、職場への申し訳なさや、自分への厳しさが出てくることがほとんどです。
ただ迷っているのは、弱いからではなく、頑張ってきた責任と向き合っているからなのだと思います。
ただ、その頑張る力そのものが、少しずつすり減っている時期でもあります。だからこそ一人で答えを出す前に、迷いの中身を一度紐解いておきたいところです。
休職をためらってしまう3つの原因
1. 「まだ動けるから大丈夫」と思ってしまう
出勤できている、動くこともできている…そうした「できていること」を数えて、まだ休むほどではないと考えてしまう方も多いと思います。
でも職場で笑って話せていることと、心に余裕があることは別のものですよね。
周りに合わせて元気に振舞える人ほど、自分の限界に気づきにくいのかもしれません。
「動けるうちは大丈夫」という基準で考えていると、休むかどうかを考え始めるのは、本当に動けなくなってからになってしまいます。
動けているうちに一度立ち止まって考えることも、自分を守る力の一つなのだと思います。
2. 「休んだら戻れなくなる」と感じている
「一度休んだら、もう仕事や居場所がなくなるのではないか…」休職を考えたときに、そんな不安が先に立つ方も多いと思います。
厚生労働省の「令和6年 労働安全衛生調査」では、過去1年間にメンタルヘルス不調で連続1か月以上休業した人がいた事業所は10.2%でした。労働者1,000人以上の事業所に限ると88.2%にのぼります。
これらの数字から見ても休職は、職場にとって決して珍しい出来事ではないということですね。
多くの職場には、休職と復職のための仕組みがすでに用意されています。
3. 職場に迷惑をかけると思って言い出せない
2025年、Healthcareという医療・健康の専門誌に、ドイツの研究チームによる研究が掲載されました。
働く人148名、メンタルヘルスの不調や診断がある働く人338名、上司91名を対象に、上司の「健康への気づかい」と、不調を打ち明けること、病気休業との関係を調べた研究です。
そして分析の結果は、次のようなものでした。
上司が部下の健康を気づかっているほど、不調を打ち明けやすいこと
不調がある人のグループでは、上司の気づかいが大きいほど病気休業が少なく、不調が重いときほどその関係が強かったこと
健康への気づかいが少ない上司でも「不調が重ければ言ってくれるはず」と考えている一方で、部下の方は不調を隠しやすいという、認識のずれがあったこと
この研究は一時点の調査で、日本の職場にそのまま当てはまるとは限りませんが、それでも上司が思っているより、言い出す側のハードルはずっと高いということが見えてきます。
「迷惑をかけたくない」と黙っていることが、かえって支援を遠ざけてしまうこともあるのかもしれません。
休職するかどうかは「一人で決めない」ことが大事
ここまでの3つの原因は、どれも「自分一人で判断しようとしている」ところに共通点があります。
大事なことは休職するかどうかは、気合いで決めることではなく「体調の見立てと職場の仕組み」を合わせて考えることなのだと思います。
主治医が休職を勧めているのなら、それは今の体調を見たうえでの医学的な意見です。
また、気分の落ち込みや眠れない状態が2週間以上続いているときは、まだ受診していない方も、心療内科やメンタルクリニックなどで一度相談してみてください。
休職中の収入については、健康保険の傷病手当金が受けられる場合がありますので、会社の担当者や健康保険の窓口に確認しておきましょう。
このように休職は「逃げ」ではなく、回復のために用意された治療の一部です。
(休むことへの後ろめたさについては【休むことは逃げじゃない。休職を肯定的に捉え直すための考え方】の記事でもまとめています)
休職しない方がいいか迷っている今からできる3つのこと
1. 主治医に「休んだ場合と続けた場合」を聞いてみる
「休むべきですか」と聞くよりも、「このまま働き続けた場合と、休んだ場合で回復の見通しはどう違いますか?」と聞いてみるのはいかがでしょうか。
休職以外にも「業務量を減らす、勤務時間を短くする」といった選択肢があるかどうかも、あわせて相談してみるのも一つです。
比べる材料がそろうと、決めることへの怖さが少し和らぐと思います。
2. メンタル不調のサインを2週間メモしておく
自分のメンタル不調を一言ずつでいいので書き留めておきましょう。例えば
眠れなかった日や、夜中に目が覚めた日
理由もなく涙が出た場面
朝に体が重くて動けなかった日
このように「なんとなくつらい」が目に見える形になると、主治医や職場にも伝えやすくなります。
(自分のサインの見つけ方は【自分のストレスサインを知る方法とその重要性】の記事も参考にしてみてください)
3. 上司や産業医に「少し相談したいことがある」と伝える
いきなり「休職したい」と切り出すのは、とても勇気が必要になります。
なのでまずは「体調のことで少し相談したいことがあります」と、話す時間をもらうところから始めても大丈夫です。
先ほどの研究のように、上司の側は「不調があれば言ってもらえる」と考えていることもあります。
就業規則の休職制度を、人事に確認しておくのも一つの準備になると思います。
話すことがまとまらないときは、2つ目のメンタル不調のメモをそのまま見せながら話してもいいと思います。
うまく説明しようとするより、「今こういう状態です」と事実を伝えるほうが、相手も一緒に考えやすくなるはずです。
まとめ|休職するかどうかは、一人で抱えずに決めていいこと
ここまでの内容を、もう一度並べてみます。
休職をためらう背景には「まだ動ける」という思い、戻れなくなる不安、迷惑をかけたくない気持ちがあること
メンタルヘルス不調による休職は職場にとって珍しいことではなく、休職と復職の仕組みがあること
不調を打ち明けることが、支えを受け取る入り口になること
一方で、休職がいちばん良い選択かどうかは、一人ひとりの体調や職場によって違い、研究結果からも一律に言えるわけではありません。
だからこそ、主治医や職場と一緒に歩み寄りながら考えていくことが重要なのだと思います。
それでも「休むかどうか迷うほど、ここまで頑張ってきた」ということ自体が、自分を大事にしていい理由であり、立ち止まって相談することは、この先も働き続けるための一歩なのだと思っています。
よければ参考にしてみてくださいね。
参考文献
厚生労働省. (2025). 令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況. https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r06-46-50b.html
Pischel, S., Felfe, J., & Fröhlich, L. S. (2025). When Employee Mental Health Deteriorates: Examining the Relationship Between Health-Oriented Leadership, Disclosure, and Sickness Absence. Healthcare, 13(21), 2759. https://doi.org/10.3390/healthcare13212759
ブログ一覧へ
