休んでいる自分が情けない…|2つの研究が示した「支援が届いていた2つの意味」

「仕事を休ませてもらっているのに、戻れない自分が情けない…」休職中にそう感じている方も多いのではないでしょうか?
自分だけが止まったままに感じてしまう中、支援を受ければ受けるほどかえって申し訳ない気持ちが増えていく方も多いかと思います。
今日は2つの研究をもとに「休職中に受けている支援の2つの意味」を一緒に見ていけたらと思います。
休職中の支援が「復職までの時間」を変えていた
2026年、Journal of Occupational Rehabilitationという職業リハビリテーションの専門誌に、デンマークの研究チームによる研究が掲載されました。ここで扱われているのは、認知行動療法をもとにしたストレスマネジメントという休職中に受ける支援の一つです。
仕事に関係するストレスで休職した人を対象に、この支援を受けた331名と、支援が始まる前に休職していた221名を、36か月間追いかけて比べたものです。
そして分析の結果は、次のようなものでした。
36か月のあいだの休職週数の中央値が、支援を受けた群で29週・受けていない群で40週だった
休職の長さにしておよそ14%の短縮に至った
3か月続けて「安定した復職」への至る確率が1.25倍だった
「安定した復職」というのは、復職した後の状態が続いていたかどうかを見ている指標で、支援の効果が復職の瞬間だけではなく、その後にまで残っていたことになります。
つまり支援を受けた人のほうが休んでいた期間が短く、復職した後も安定した状態が続きやすかったということになります。
(ただこの研究は、同じ時期の人を無作為に二つに分けたものではなく、支援が始まる前の時期の人たちと比べた形になっています)
同じ時期に、自分の見え方のほうも動いていた
2026年、Psychiatrische Praxisという精神科医療の専門誌にドイツの研究チームによるレビューが掲載されました。こちらは復職という結果ではなく、支援を受けている人の内面で何が起きていたのかを整理したものです。
1,247件の文献から38件の研究を選び出し、医学的なリハビリテーションと職業リハビリテーションが、レジリエンス(回復力)・自己スティグマ・生活の質にどう関わっていたかをまとめています。
(自己スティグマというのは「こんな自分はもうだめだ」と、自分で自分に向けてしまう決めつけのことです)
そして研究チームが挙げていたのは、次のようなことでした。
レジリエンスは支援者の関わりと、支援者一緒に決めていくやり方で強まっていたこと
自己スティグマは自分と同じ経験をした人との関わりと、自分で選べる裁量権が増えることで緩和していたこと
生活の質は、働くことを通じて改善したこと
本人が「自分の目標を設定する形の支援」は、この3つすべてに良い方向の効果を示していたこと
注目したいのは、良い方向に働いていたものがどれも「支援者が決めて本人が受け取る」形ではなく、関係を作ること、一緒に決めること、自分で目標を設定すること…本人が関わる余地のあるところに変化が起きていたことです。
こうして二つの研究を並べると、休職中の支援は「復職までの時間」と「自分をどう見るか」という、二つの意味にも同時に届いていたのだと思います。
休職中の今からできる3つのこと
1. 支援の場に「自分の目標」を一つ持っていく
次の面談や診察までに「自分はどうなっていたいか」を一つだけ決めておきましょう。
この時の目標は最初から大きなものにする必要はなく、例えば「週に3回は朝9時に起きていたい」など、まずはこれくらいの大きさで十分です。
自分が決めた目標が一つあるだけで、支援の場が「決めてもらう時間」から「一緒に確かめる時間」に変わっていきます。
2. 「だめな自分」の隣に事実を一つ置いておく
自己スティグマは気持ちの問題というより、長年の自分への評価によるもの多いと思います。だからこそ打ち消そうとするより「言葉の置き方」のほうを変えておきたいところです。
「自分は何もできない…」と浮かんできたら「それでも今日は買い物には行けた。」と、起きた事実を一つ添えてみるのはいかがでしょうか。ここで無理に前向きにする必要はないと思います。
事実を一つ置くだけなら、調子が良くない日でも続けられることが多いと思います。
3. 同じ経験をした人の言葉に触れる時間をつくる
レビューでは、自己スティグマを和らげていたものの一つが、同じ経験をした人との関わりでした。なので休職や復職を経験した人の言葉に触れる時間を、少しだけ持ってみるのも一つです。
例えばリワークのグループでも、休職体験を書いた記事を読むことでも構いません。自分だけが止まっているわけではないと分かるだけで、安心が増えてきます。
ただ他人比べてしまって苦しくなる日もあれば、そういう日は距離を置いておくくらいでちょうどいいと思います。
まとめ|支援は仕事に戻る道と自分への見方の両方に届くこと
ここまでの2つの研究が言っていたことを、もう一度並べてみます。
デンマークの研究では、休職中にストレスマネジメントの支援を受けた人のほうが休んでいた期間が短く、復職した後も安定した状態が続きやすかった
ドイツのレビューでは、関係づくり・一緒に決めること・同じ経験をした人との関わり・自分で目標を置くことが、レジリエンスや自己スティグマ、生活の質と結びついていた
こうして見てみると「支援はいま受け取っている最中にも意味がある」ことであり、休んでいる時間は止まっている時間ではないと感じています。
休職中に情けないと感じているその気持ちも、抱えたまま支援の場に持っていってよいものなのだと思います。
よければ参考にしてみてくださいね。
参考文献
Bond, C. B., Willert, M. V., Ditlevsen, D. N., Sandal, L. F., & Brandt, L. (2026). Effect of Cognitive Behavioural Stress Management on Return-to-Work Amongst Sick-Listed Employees. Journal of Occupational Rehabilitation, 36(3), 729-736. https://doi.org/10.1007/s10926-025-10306-2
Hoelscher, I. D., Witzmann, M., Koller, G. C., & Pogarell, O. (2026). Medizinische und berufliche Rehabilitation bei Menschen mit psychischen Erkrankungen: Effekte auf Resilienz, Selbststigmatisierung und Lebensqualität. Ein Scoping Review. Psychiatrische Praxis, 53(1), 8-15. https://doi.org/10.1055/a-2737-6041
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